『脱ノープラン経営』の読者の方から寄せられた感想を、ご紹介させていただきます。
ーーー
プロダクトデザインという創造活動には様々な制約が付きまとっている。
材料技術、生産技術、設計要件、原価、日程、安全性、法規…そして何より市場のニーズという時代との文脈が欠かせない。
研究の現場でもある大学では、時にこれらの要件に縛られず、理想の姿を自由な発想で探ることを優先する。
しかし、そこには「(市場の)現状を知り」「あるべき理想を語り」「課題を洗い出し」「戦略を立て」「様々な角度から解決方法を探り」「狙いを確実に表現し」「結果を検証する」プロセスがPDCAとして何度も繰り返される。
本書は企業経営のノウハウを「計画の重要性」を軸に解説しているが、読了後の最初の感想は、上述の「デザインのプロセス」と、酷似しているということだ。
プロダクトデザインは商品を通して「新たな生活様式」に対するビジョンを問う仕事だ。
デザインが利益を追求する以上、デザイナーにも理想を現実にするためのビジネスセンスが必要で、利益を生むためのシビアな判断力が求められる。
そこには、あるべき姿(未来)をイメージできるビジョンが欠かせない。
「夢見る力」と「現実」のバランス感覚を身につけることが経営者にも若きデザイナーにも求められているのだと本書を読んで改めて感じた。
計画的にプロジェクトを推進する力を持つことは、学生達が将来どんなキャリアに進むにしても必要なコンピテンシーであり、今後のキャリア教育の視点からも避けて通れない重要な視点をこの本は示唆している。
_____________________
名古屋造形大学 副学長/教授 金澤秀晃先生
0コメント